| ◎患者さんは60代の主婦の方です。30年前に子宮癌の治療で手術と放射線療法を受けましたが、長年その後遺症に悩んでこられました。ご家族の紹介で去年(平成11年)から当院のはり治療を受けています。 問、では病気の経過からお話ください。 答、昭和44年に子宮ガンという事で診断を受けて、すぐに手術を受けました。だいぶ進んでいたらしく「リンパまで削 るから」と説明されました。手術の後コバルト照射の治療を受けていたのですが、段々と吐き気がしてきて食欲も無くなってきたので、検査してみたら輸血による血清肝炎になっていました。そのため一時コバルト治療を中止し、肝炎を治してからコバルト治療を再開したのですが、今度は治療の副作用で直腸に潰瘍ができ、下痢と下血を繰り返すようになりました。それで貧血を抑えるため、人工肛門にする事を勧められ手術をしたのですが、その後も下痢は続いたうえ腸閉塞も併発して腹痛もひどかったので、今度は腸を切る手術をしました。ようやく痛みは治まったのですが下痢は止まらず、自律神経の影響か高血圧になってしまいました。 問、大変苦しい状態でしたね。最初に来院なさった時、顔色が悪くてほんとに土気色だったのと、とにかく足が大変冷たかったのを覚えています。冬ではないのに氷のように冷たかったですね。下腹部から鼠頚部にかけて潰瘍の後が硬く固まっていて、足に血液が十分に循環していなかったのは明らかでしたから、胃腸の力を高めながら、一方で潰瘍の周囲をはりで囲むように治療して、じっくりと緊張をゆるめていく治療を繰り返していきました。 私から見ると、まず足がとても暖かくなった事、そして顔色が良くなりましたね。今ではずいぶんと血色が良くて、元気そうに見えます。御自身でははりの治療を受けて、以前との違いをどう感じていますか? 答、確かに以前は手足も冷たく、また肝炎のせいか顔色も黒ずんでいたのですが、まずそれが改善されました。それに以前の一番の悩みはすぐに下痢をする事だったんです。いつ下痢になるかと思うと落ち着かなくて、それが心配で外に出る事もおっくうで、無気力になっていたのですが、それがなくなりました。いまでも下痢は無くなったわけではないのですが、以前に比べると自分でコントロールできているという感じで安心していられます。夜もよく寝られるようになり、いつも感じていた慢性的な疲労感もなくなりました。それにコバルト照射によって傷んだ腰骨(仙骨)を削る手術をした後からずっと残っていた足のしびれがなくなり、階段も楽に上れるようになりました。あと人工肛門にした後から気になっていた直腸から出る粘液のようなものもおさまりましたし、子宮がんの手術の後から続いていた性器が飛び出す感じも無くなりました。 問、腸に力がついてきたのでひどい下痢もなくなってきたし、顔色も良くなった。胃腸が安定してきたので夜も熟睡できるようになりますから疲労感も無くなってきた、という事だと思います。そして潰瘍の後遺症で硬く引きつっていた組織がはりの治療でゆるめられ、骨盤全体に血液が良く回るようになったので、足の痺れはなくなったし、下腹部の不快な症状も消えていったのでしょう。本当にずいぶんと楽になってきて良かったですね。今日はどうもありがとうございました。 |