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女性と鍼灸
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 女性の一生には3度の転機があるといわれています。1度目は幼女期を脱して生理が始まるとき。2度目は結婚して出産するとき、3度目は閉経期を中心としたいわゆる更年期です。鍼灸は女性のそれぞれの時期の様々なトラブルを解決するお手伝いをしています。

 まずは生理の治療です。生理の期間が一定しない、生理痛が激しい、不正出血がある等の症状に鍼灸はたいへん優れた実績があります。若いときに生理の状態が安定しない事の原因は婦人科の奥深くまでまだ血流が十分に達していないことに起因しています。いわゆる「血の道」が完全には開通していないのです。開通していない道を何とか通ろうとするせめぎ合いが一連の生理のトラブルなのです。こうした方には足や腰にある穴を使って婦人科の緊張を緩めながら腰が温まるように治療することで、今まで達していなかった深部にも血が届く様になります。そうなると生理のトラブルが無くなるばかりかいつも冷たかった手足が暖かくなったり、荒れていた皮膚がきれいになったり、むくんで太っていた人がほっそりとしてくるなど色々な良い作用を体にもたらすものなのです。

次に妊娠について。いまは不妊症の人が多い時代です。現在日本には子宝に恵まれない夫婦が全世帯数の約一割もおり出産適齢期のカップルに限れば四組に一組が不妊に悩んでいると言われています。漢方的には不妊の原因の多くは血虚症であると言われています。鍼灸では体内の血が増え、豊かに子宮を潤すように治療していきます。今や鍼灸の治療が不妊症に有効であることは多くの統計でも証明されているようです。勿論ご主人様も一緒に治療なさると確率はさらに良くなります。

 妊娠後は妊婦の健康維持が大切です。初期のつわり、中期以降の腰痛、坐骨神経痛、妊娠中毒の予防、逆子等の治療を行っています。妊娠中は風邪一つ引いても胎児への影響を考えると薬の服用は避けたいものです。その点鍼灸ならば副作用は全くありませんので安心して治療を受けることができるのです。さらに鍼灸独自の治療として安産のお灸があります。安定期以降に内くるぶしの上にある「三陰交」という穴に施灸していくのですが、名前の通り安産を第一の目的にしています。三陰交は子宮を含む婦人科全体と深い関わりがある穴で、子宮と子宮口を柔軟にすることで安産に導くはたらきがあります。
 
 
しかしさらに重要な事はこの安産のお灸は母体と胎児の優れた健康法でもあるということです。三陰交は妊娠のプロセスを支える重要な臓器である肝臓と腎臓にも通じており、妊娠中の最大の問題である滞りがちな新陳代謝をスムーズにします。その結果各種の疲労物質が体内に残ることなく体外に排泄されますので、母親も胎児も常に新鮮な血液の循環を受けることができます。その結果母親はもちろん赤ちゃんの方も病気知らずの強い体質を持って生まれてくることができるのです。実際私の知り合いの鍼灸の先生方の子弟にはアトピーの子供はほとんどおりません。我々の流祖故・福島弘道氏は「安産のお灸は偉大なる民族遺産」と評しておりましたが、まさにその通りで、環境と体質の不良化が進む現代においてますますその価値は高いと思います。

 また出産後に体調の安定しない方は多いものです。母乳がでない、腰が痛む、夜眠れないなどの症状にも良く効きますので是非ご相談下さい。

 閉経期の前後になると多くの女性が多かれ少なかれ体調の不良に悩まされます。一般に更年期障害と呼ばれている症状です。その具体的症状は精神的肉体的に多岐にわたりますが、漢方医学では「火照る更年期」と「冷える更年期」に分類することで治療の指針としています。前者は火照り、のぼせ、めまいを主症状として、目や口が渇き、夜は目覚めやすくて熟睡できず、精神的にはイライラして怒りやすくなるタイプ。後者は体が冷えて寒がり、足腰が痛み、食欲減退して眠っても疲れが取れない。そして気力が湧かずウツ気味、というタイプ。漢方鍼治療では「火照る更年期」には体の水液を増やして渇いた粘膜を潤すという「冷やす」治療を行うことで高ぶった神経を安らかにし、「冷える更年期」には骨盤内蔵の深いところまで血液を導くことで手足はもとより体全体を「暖める」ことで、消耗した神経を癒し、もう一度活性化していく治療を行っています。

 前述した3度の転機は体質の転機でもあります。つまりこの転機を境にそれまで健康だった人が病気がちになったりすることがあります。逆にこうした時に鍼灸の治療で体の問題を乗り越えるとそれまで病気がちだった人がその後は嘘のように元気で健康な体質になるということもよくあることなのです。



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