ー更年期障害ー





◎患者さんは40代の女性です。平成9年の5月から一連の神経症的な症状の改善を目的にして本院の鍼灸治療を受けました。

問、では症状の経過をお話し下さい

答、ここへ来る半年ほど前から、まず喉の違和感が出てきたんです。何かがつかえているような感じがして、なかなか治らないものですから、「もしもこれが癌だったらどうしよう!」と思い始めたら恐くなってしまって、不安で不安で夜も寝られなくなってしまいました。病院で検査した結果、原因は甲状腺にできた良性の腫瘍だということが分かったのですが、それでも体の調子は元に戻りませんでした。頭の中で不安感がふくらんで、居ても立ってもいられない感じがして、夜もなかなか寝付けない上に、寝ても夢を見てパッと起きると全身びっしょり汗をかいている、といった調子でした。最初に行った病院では「不安神経症」だと診断され、安定剤を出されて服用していました。次にいった婦人科では「更年期障害」と診断されて、ホルモン療法を受けるかたわら、気功の治療も受けました。それでも苦しくて、毎日3回安定剤を飲んでいましたが電車に乗るのさえ不安でたまりませんでした。

問、その後はりの治療にいらっしゃったんですね。

答、そうです。最初に印象に残ったのはお灸のもぐさの香りで、とてもいい匂いだと思って、リラックスできました。治療を受けた後は、体が温かくなって頭がポーっとしてとても気持ちが良かったです。その後だんだん良くなっていき、夜も眠れるようになり、精神的にも安定してきたので、6ヶ月後には安定剤を飲むのをやめました。 

問、病院で「更年期障害」と診断される一連の症候群は、女性にしばしばみられます。これは、中年期以降にホルモンのバランスが崩れる時に、身体だけでなく精神的にも不安定になり、不安感・恐怖感などが増大するというものです。しかし、本当の原因は不明であり、病院ではホルモン剤の投与の他、安定剤などで症状を落ち着かせることしかできないのが現状です。 一方東洋医学には、「恐れは腎を傷る」という言葉があります。これは、恐怖感や不安感を抱き続けると終いには、五臓のうちの「腎」の臓を傷めてしまい、「腎」の気が不足してしまう、と考えるのです。逆に言えば、腎の気を高めて体内のバランスを取ることにより、このような症状も軽減できるのです。病名がつかなくても、現れている症状を元にして体全体のバランスをとり、様々な疾患に対応できるのが、東洋医学の治療の特徴と言えます。その後の経過はいかがでしたか?

答、最初の1ヶ月は週に2回くらい通いました。その後週に1回、月に2回と減っていって、半年後には月に1回で充分になりました。現在も日頃の養生として、月に1回だけお世話になっています。



 

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